2014/5/14

総合・マクロ

ウクライナ東部2州が独立宣言、円卓会議開催も

この記事の要約

ウクライナの親ロシア派は11日、東部2州で実施した住民投票で圧倒的多数が賛成したと発表し、ウクライナからの独立を宣言した。この結果を受け、ドネツク州の親ロシア勢力はロシアに対し、併合の可能性を検討するよう要請した。混迷を […]

ウクライナの親ロシア派は11日、東部2州で実施した住民投票で圧倒的多数が賛成したと発表し、ウクライナからの独立を宣言した。この結果を受け、ドネツク州の親ロシア勢力はロシアに対し、併合の可能性を検討するよう要請した。混迷を深める同国情勢の改善に向け、14日に欧州安保協力機構(OSCE)主催の円卓会議が開かれる予定だが、ウクライナ暫定政府が親ロシア分離派の参加を拒否しており、その成否は不透明なままだ。

親ロシア派によれば、ドネツク州では投票率が74.9%に達し、うち賛成票が89.7%に上った。ルガンスク州でも投票率は80%、賛成票は96.2%だったという。ロシアは住民投票の結果を「尊重する」としながらも、まだ正式には独立を承認していない。プーチン大統領は、住民の意思に基づいて「平和的解決」に努めるべきとして円卓会議を支持する姿勢だ。ウクライナ暫定政府と欧米諸国は投票が非合法的に行われたとの見方を明らかにしている。

欧州連合(EU)はまた、12日に対ロシア制裁を強化した。「クリミア半島併合に対する措置」で今回の住民投票との関連性を否定しているが、新たに13人に対して入国禁止・資産凍結措置の適用を決めた。また、ロシア政府が国営化したクリミア半島の2企業もリストに加えた。法人が制裁対象となるのはこれが初めて。25日に予定されるウクライナ大統領選挙の実施が妨害されるような事態となれば、制裁を強化する方向だ。ただし、経済制裁に踏み切るかどうかではEU内でも意見が一致していない。

ウクライナ暫定政府のトゥルチノフ大統領代行は、今回の住民投票が憲法違反に当たるとし、責任者を訴追する姿勢を示している。また、政府調査によると、ルガンスク州の投票率は24%、ドネツク州でも32%にとどまったという。

複数のメディア報道によれば、有権者は記入済みの投票用紙を折らずに透明な投票箱へ入れるよう指示され、選挙の秘密は保証されなかった。また、通常の選挙に比べると投票所の数が極端に少なく、親ロシア派が発表した高投票率は物理的に不可能という。

米国の世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが8日発表した調査によると、ウクライナ西部では住民の93%、東部でも70%がウクライナの統一を維持すべきと考えている。