中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2014/5/14

CIS諸国

ウクライナの肥料大手が生産停止、政情不安で

この記事の要約

ウクライナ富豪ディミトロ・フィルタシュ氏率いる投資会社「グループDF」の化学子会社が8日、東部の工場におけるアンモニウムの生産を停止した。政情不安で安全確保が難しくなっているためで、状況が落ち着くのを待って再開する方針だ […]

ウクライナ富豪ディミトロ・フィルタシュ氏率いる投資会社「グループDF」の化学子会社が8日、東部の工場におけるアンモニウムの生産を停止した。政情不安で安全確保が難しくなっているためで、状況が落ち着くのを待って再開する方針だ。生産停止に伴う減員や減給はないとしている。

対象となるのは、ドネツク州のホルリフカ工場とルガンスク州のセヴェロドネツク工場。それぞれ、子会社のスティロールとアゾトが操業している。両工場はアンモニアおよび尿素、硝酸アンモニウム、尿素硝安液肥(UNA)などの派生製品を生産する。

現地の『キエフ・ポスト』紙が業界サイト『ウクルケム』のデータとして報じたところによると、両工場は昨年、150万トンのアンモニアを生産した。これは同国全体の44%に上る。今回の生産停止による国内の肥料不足はないもようだが、アナリストらは、輸出減の可能性を指摘している。ウクライナの化学製品輸出高は42億米ドルに上り、輸出総額の6.8%を占める。

スティロールは、昨年の純損失が前年より21.4%減ったものの、依然として2億2,500万ドルに上った。アゾトも16%縮小したが、2億4,000万ドル赤字を計上したる。

グループDFの化学事業は、オーストリアに本社を置くオストケムが運営する。

なお、フィルタシュ氏はインドにおける贈賄容疑で米国当局から逮捕状が出ており、今年3月にウィーンで身柄を拘束された。1億2,500万ユーロの保釈金と引き換えに釈放されたが、オーストリア当局が米国への身柄引き渡しの可否を判断するまで、ウィーンを離れることはできない。