2014/5/21

総合・マクロ

南東欧3カ国で観測史上最悪の洪水、死者40人以上に

この記事の要約

観測史上最悪の洪水に見舞われたセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアで、18日から川の水位が下がりはじめ、同災害はとりあえずは峠を越したもようだ。しかし、18日夜までにチェコの1人を含む45人の死者が確認され、依 […]

観測史上最悪の洪水に見舞われたセルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアで、18日から川の水位が下がりはじめ、同災害はとりあえずは峠を越したもようだ。しかし、18日夜までにチェコの1人を含む45人の死者が確認され、依然として数万人が避難生活を続けるなど、状況は深刻。当局は、地盤のゆるみによる土砂災害に引き続き警戒するよう呼びかけている。

今回の洪水は、約120年前に気象観測が始まって以来で最大の規模となった。セルビア西部とボスニア東部で特に被害が大きく、被災者数は200万人にも上るとされる。

経済的な影響は現段階では確定できないが、セルビアおよびボスニア経済の柱の一つである農業に大きな損失が出るのは確実。また、セルビアのコルバラ褐炭鉱山の水没による被害額は1億ユーロ前後に上ると推測されている。

もう一つのリスクは未除去の地雷だ。ボスニア・ヘルツェゴビナの河川氾濫地域は1990年代の内戦中の地雷地帯と重なっている。地元の地雷除去活動センター(MAC)では黒海まで地雷が流された可能性もあるとして、注意を呼びかけている。特に、ドナウ川沿岸の水力発電所にとって大きなリスクだ。

被害国に対する国際支援も始まっている。欧州連合(EU)が欧州市民保護メカニズムに基づく支援を行っているほか、ロシア、モンテネグロ、スロベニア、米国、ベラルーシ、トルコなどが救助隊、人道支援団体の派遣、排水ポンプ、発電機など機材の提供などの形で援助を実施中だ。

チェコ東部やポーランド南部でも川の増水に警戒体制を敷いていたが、状況は安定に向かっている。