2014/5/28

総合・マクロ

墺企業の中東欧投資が減少

この記事の要約

中東欧諸国に対するオーストリア企業の直接投資が減少している。昨年の純投資額は15億ユーロと、1990年以来の低水準に落ち込んだ。07年や08年のように、中東欧への投資額が50億ユーロにも達したブームは過ぎ去ったようだ。 […]

中東欧諸国に対するオーストリア企業の直接投資が減少している。昨年の純投資額は15億ユーロと、1990年以来の低水準に落ち込んだ。07年や08年のように、中東欧への投資額が50億ユーロにも達したブームは過ぎ去ったようだ。

オーストリア国立銀行(OeNB)のトゥルアナー統計部長は、昨年は電力大手フェアブントのトルコ事業からの撤退という大きな動きがあったことが直接投資の大幅な減少につながったものの、全体としては「古典的な意味での資本の引き揚げではなく、安定化に向かっているだけだ」と指摘する。OeNBのイトナー副総裁も、「長期的には、オーストリア企業にとって中東欧地域が興味深い投資先であることに変わりはない」と述べている。

現在は、ロシアとウクライナの対立がオーストリアに与える影響に注目が集まっている。米国やEUによる制裁の影響でロシア経済は減速しており、同国に投資している企業の業績が影響を受ける可能性は大きい。さらに、ロシアはオーストリアにとって10位の貿易相手国であり、輸出額は年間35億ユーロに達する。ロシア経済の減速によって景気変動の影響を受けやすい機械や自動車部品の輸出が打撃を受けることが懸念されている。

ONeBが20日発表した統計によると、13年のオーストリアの経常収支は85億ユーロの黒字となり、前年から12億ユーロ黒字幅が拡大した。サービス収支は154億ユーロと過去最高の黒字を記録した。貿易赤字は半分に縮小した。国際観光収支は、オーストリアを訪れた外国人観光客の支出が150億ユーロと過去最高となったことを受け、黒字額が75億ユーロに拡大した。