2014/6/4

総合・マクロ

ロ・ウクライナ間天然ガス協議に進展、9日までの合意目指す

この記事の要約

ウクライナとロシアの天然ガス問題に解決の兆しが見えてきた。両国のエネルギー相と欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー政策担当)は2日、ブリュッセルで会談し、ガス債務の弁済計画および今後のガス価格についての合 […]

ウクライナとロシアの天然ガス問題に解決の兆しが見えてきた。両国のエネルギー相と欧州連合(EU)のエッティンガー欧州委員(エネルギー政策担当)は2日、ブリュッセルで会談し、ガス債務の弁済計画および今後のガス価格についての合意案を検討することで合意した。エッティンガー委員が会談後、明らかにした。両国の国営ガス会社の社長も同日ブリュッセルで会談し、包括的解決案で合意。両国政府に提出する運びとなっている。

一方でウクライナは5月30日に滞納しているガス代金のうち7億8,60万米ドル(5億7,600万ユーロ)をロシア側に返済した。これを受けてロシアは今月9日まで代金前払いを求めないことを約束した。従来は、ウクライナがガス債務を全額返済し、今後の供給分について前払いしない場合には2日に同国への輸出を中止すると予告していた。

対立の主要争点はガス価格だ。ロシアはヤヌコビッチ・ウクライナ前大統領の失脚後、4月にガス価格を1,000立方メートル当たり385.5ドルへ引き上げた。5月からはさらに485.5ドルを要求している。これを基に、ウクライナに対して6月の前払い分も含め52億ドルの支払いを求めてきた。ウクライナは3月までの価格(268.5ドル)以上は受け入れられないとする従来の姿勢を崩していない。

エッティンガー委員によれば、両国は「268ドルより高く、468ドルより安い」価格で合意する見通し。また、ガスプロムのミレル社長は、一定の条件が満たされれば385.5ドル以下まで値下げする可能性を指摘している。

ロシアはウクライナのガスパイプラインを経由して欧州にガスを供給している。過去の両国の対立では、ロシアによるウクライナへのガス輸出中止で欧州がガス不足に陥る事態が生じた。その例が繰り返されないよう、EUが両国間交渉の仲介に当たっている。

エッティンガー委員は、需要の高まる冬に問題が再燃しないよう、来年6月までを対象として合意を形成したいと話している。(東欧経済ニュース5月28日号「ロシア・ウクライナのガス価格協議、5月中の合意目指す=欧州委」、5月7日号「EU・露・ウクライナがガス供給で合意できず、月内に再協議」、4月2日号「ロシア、ウクライナ向けガス価格を大幅に引き上げ」を参照)