2014/6/4

CIS諸国

ユーラシア経済連合、来年発足へ

この記事の要約

ロシア、ベラルーシ、カザフスタンは5月29日、アスタナで開催された首脳会議で「ユーラシア経済連合」を来年1月に発足させる条約に調印した。2010年の「関税同盟」、12年の「統一経済圏」に続き、将来の「ユーラシア連合」の発 […]

ロシア、ベラルーシ、カザフスタンは5月29日、アスタナで開催された首脳会議で「ユーラシア経済連合」を来年1月に発足させる条約に調印した。2010年の「関税同盟」、12年の「統一経済圏」に続き、将来の「ユーラシア連合」の発足へ向けた一段階と位置付けている。欧州連合(EU)にならい、人・モノ・サービス・資本の移動の自由を保障し、エネルギー、産業、農業、運輸といった経済の重要分野で政策の調整を図っていく方針だ。

3カ国の総人口は1億7,000万人、域内総生産(GDP)は2兆米ドルに上る。また、世界に埋蔵される天然ガスの5分の1、石油の15%を擁する。ただ、ユーラシア経済委員会(モスクワ)によると、関税同盟内の2013年貿易額は640億ドルで、前年の678億ドルを下回った。ロシアの対欧州取引額(4,000億ドル超)と比べても規模が小さい。3国間の関税は撤廃されておらず、衛生基準など各国の規制の統一も遅れているため、今回の「ユーラシア経済連合」条約調印の意義を「課題を解決する期限を定めた」点に見出すアナリストもいる。

ロシアにとっては、「ユーラシア連合」に向けた前進をアピールし、関税同盟へのウクライナ加盟を逃した失策を少しでも埋め合わせたい政治的思惑がある。

一方、ベラルーシとカザフスタンは、それぞれ欧州、中国への依存を避けるため、他の強い外交・貿易パートナーの存在を必要としている。両国とも、ユーラシア経済連合が他の国との同盟関係の可能性を断つものではないとの立場だ。

ロシアは資源輸出価格を値引きするなど、経済的利益と引き換えに旧ソ連諸国にユーラシア連合構想への参加を働きかけてきた。昨年9月にはアルメニアがEUとの連合協定締結をあきらめ、関税同盟参加の意向を発表した。この背景には、ロシアが天然ガス輸出価格の引き下げや、ダイヤモンド原石の輸出価格割引といった経済的優遇を約束したことがある。

他には、キルギスが加盟の方針を明らかにしている。

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ
COMPANY |
CATEGORY |
KEYWORDS |