2014/6/11

チェコ・スロバキア

スロバキアのEヘルス計画に遅れ、ソフト導入は2017年に

この記事の要約

スロバキアの電子医療(Eヘルス)計画が再び遅れる見通しだ。医療機関のデータ通信システムの導入手続きが足踏み状態となっているためで、国内健康保険組合からは医療制度改革の遅延につながりかねないと懸念する声も出ている。また、欧 […]

スロバキアの電子医療(Eヘルス)計画が再び遅れる見通しだ。医療機関のデータ通信システムの導入手続きが足踏み状態となっているためで、国内健康保険組合からは医療制度改革の遅延につながりかねないと懸念する声も出ている。また、欧州連合(EU)から受ける予定だった助成金も一部返上を余儀なくされそうだ。

保健省はこのほど、国民保健情報システム(NZIS)向けソフトウエア・コンポーネントの導入作業を中止すると発表した。昨年実施した設計競技(コンペ)の結果に対し、非優勝者が異議申し立てを行い、公共調達局が精査に当たっているため。

今回の決定により、システム稼動は当初予定していた来年9月から2017年に遅れる見通し。

保険省の発表に対して健康保険組合連合(ZZP)は、保健制度改革に向けた政府の意気込みが感じられないと不満を表明。入院治療費の計算基準となる診断群分類(DRG)など、他の重要課題の実施も延期されている事実を指摘し、現議会の任期中の実現を疑問視している。

また、Eヘルスの導入遅延が、医療機関の債務膨張につながることにも触れた。ウフリアリク前保健相によれば、Eヘルスの完全導入で年間1億ユーロの経費節減が可能という。

一方でZZPは、Eヘルス計画への拠出金として健保組合がすでに総額1,330万ユーロを負担していることを指摘。今年、さらに940万ユーロを追加負担する予定だが、導入が遅れるのであれば拠出金を健保に返すべきとの立場を表明した。

政府はこれらの批判に対し、医療データ・処方箋の電子化、保健ポータルの立ち上げなど、Eヘルス計画を構成する他のプロジェクトに遅れはないと言明。医療サービスの電子化に積極的に取り組んでいると反論した。

なお、スロバキアはソフトウエア導入に関連し、EUの07~13年度長期予算から助成金を受給する予定だった。欧州議会から特例として2015年までの予算消化が認められたが、今回の決定によりこの期限も守れなくなる。このため、14~20年度長期予算の枠内で助成を受けたい考え。