2014/6/18

総合・マクロ

ロシア、ウクライナへの天然ガス供給を停止

この記事の要約

ガスプロムは16日、ウクライナに対する天然ガス供給を停止すると発表した。両国が欧州連合(EU)の仲介で臨んだ前夜の交渉が物別れに終わったためで、ガスプロムはウクライナに対して、今後は前払いを条件にガスを供給すると通告した […]

ガスプロムは16日、ウクライナに対する天然ガス供給を停止すると発表した。両国が欧州連合(EU)の仲介で臨んだ前夜の交渉が物別れに終わったためで、ガスプロムはウクライナに対して、今後は前払いを条件にガスを供給すると通告した。こう着状態が長引けば、欧州諸国にも影響が出ることになる。

EUの欧州委員会は同問題をめぐる包括的合意に向けて、◇ウクライナが16日に買掛債務のうち10億米ドル返済◇残る買掛債務は6回に分けて年末までに完済◇今後のガス代金は契約条項に基づいて支払う◇1,000立方メートル当たりの価格を夏季300ドル、冬季385ドルに設定――を提案した。これにウクライナ側は同意したが、ロシア側が◇16日までの支払額19億5,000万ドル以上◇ガス価格を年間一律385ドルに設定――という主張を譲らず、交渉は決裂した。

この状況の中で16日、ロシアが設定していた支払い期限が切れた、ガスプロムはウクライナ・パイプラインに送り込むガスの量を同国向けの分だけ減らした。欧州向けは変更ないとしている。ウクライナと欧州諸国の天然ガス備蓄は十分で、短期的な影響はない見通しだが、欧州委は解決に向けた対話の継続に取り組む姿勢を明確にしている。

ロシアは4月と5月にウクライナ向けガス価格を急激に引き上げた。これを基にウクライナへの売掛金が44億5,800万米ドル(32億9,00万ユーロ)に上ると計算している。一方でウクライナは値上げが不当として支払いを拒否してきた。(東欧経済ニュース6月4日号「ロ・ウクライナ間天然ガス協議に進展、9日までの合意目指す」を参照)