2014/7/2

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

クロアチア流通大手のアグロコル、スロベニア同業を買収

この記事の要約

クロアチア流通大手のアグロコルは6月27日、スロベニア同業メルカトルの株式53%を5億4,400万ユーロで取得することでメルカトルの株主連合と最終的な合意に達し、契約に調印した。これにより、旧ユーゴ連邦を網羅する年商70 […]

クロアチア流通大手のアグロコルは6月27日、スロベニア同業メルカトルの株式53%を5億4,400万ユーロで取得することでメルカトルの株主連合と最終的な合意に達し、契約に調印した。これにより、旧ユーゴ連邦を網羅する年商70億ユーロ、従業員6万4,000人の流通大手が誕生する。

アグロコルは流通、食品、観光を手掛ける複合企業で、2011年以来、メルカトルの買収を試みてきた。スロベニア政界が国内農業への影響を懸念してアグロコルへの売却を拒んでいたが、国有企業である株主の財務が悪化して売却への圧力が高まり、ようやく契約につながった。

取引の対象となった株式は、飲料会社ピヴォヴァルナ、新リュブリャナ銀行(NLB)、新マリボル信用銀行(NKBM)など12社が保有していた。取引額5億4,400万ユーロのうち、本来の買収額は3億2,400万ユーロ。アグロコルはこのほか、債務引き受け分として2億ユーロ、事業運転資金として2,000万ユーロを支払う。

買収に伴い、アグロコルは競争当局の承認を得るため、クロアチアで約100店舗、セルビアで20店舗を手放すことになる。

政治的思惑で延び延びになっていたメルカトルの売却が成立したことについて、ライファイゼンバンク・インターナショナル(RBI)のドイバー調査部長は、「他の民営化案件にも良い影響を与える」と評価している。また、財政危機問題の中心にあった国営銀行2行が売却益を得ることも金融の安定化に働くとみられている。