2014/7/9

総合・マクロ

中東欧経済のエンジン始動、EU助成金活用がカンフル剤に=WIIW

この記事の要約

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)が3日発表した夏季経済予測によると、中東欧経済は全体的に加速し、来年まで平均2~3%の経済成長率を維持する見通しだ。欧州連合(EU)の助成金消化の動きが民間投資を引き出し、景気好転に […]

ウィーン国際比較経済研究所(WIIW)が3日発表した夏季経済予測によると、中東欧経済は全体的に加速し、来年まで平均2~3%の経済成長率を維持する見通しだ。欧州連合(EU)の助成金消化の動きが民間投資を引き出し、景気好転につながると予測する。ただ、国別では固有の事情が影響して経済の足を引っ張るとしている。

ロシア・ウクライナ紛争では、ウクライナが最も大きな打撃を受け、今年は5%の経済縮小が予想される。ロシアは0.6%のプラスで、春季予測より1ポイント低下した。また、ロシア経済との関係が深いバルト3国も余波を受け、エストニアの成長率は0.7%、ラトビアは2.7%、リトアニアは2.9%にとどまる。これら5カ国について、WIIWは見通しを春季予測から平均1.8ポイント引き下げている。

5月の洪水で甚大な被害をこうむったセルビア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナの予想成長率は、それぞれマイナス1%、マイナス0.5%、0%の予測。これらの国と関係の深いアルバニア、モンテネグロ、マケドニア、コソボでも春季予測に比べて見通しは平均0.5ポイント低下した。アルバニア、クロアチア、セルビア、コソボの4カ国が緊縮財政を実施していることも西バルカン地域経済の足を引っ張る。

一方、中東欧の中核となるその他の7カ国では、2007~13年のEU中期予算による助成を活用できる期限が来年末に迫っていることから、公的投資が活発化する見通しだ。すでに第1四半期のデータにその傾向が認められる。また、重要な取引先であるユーロ圏の景気回復も期待でき、輸出産業が活気づきそうだ。

これらの好材料から、スロベニア(0.5%)とブルガリア(1.4%)を除く5カ国では今年2~3%の経済成長が予測される。

トルコは今年2.9%成長する見通しで、春季予測より0.7ポイント引き上げられた。