2014/7/16

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

ブルガリア中銀、4位銀行の清算・国有化を決定

この記事の要約

ブルガリア中央銀行の国立銀行(BNB)は11日、取り付け騒ぎが発生し、政府の管理下に置かれた国内4位銀行コーポレート・コマーシャル・バンク(KTB)の清算、国有化に踏み切ると発表した。ずさんな経営が問題の背景にあると判断 […]

ブルガリア中央銀行の国立銀行(BNB)は11日、取り付け騒ぎが発生し、政府の管理下に置かれた国内4位銀行コーポレート・コマーシャル・バンク(KTB)の清算、国有化に踏み切ると発表した。ずさんな経営が問題の背景にあると判断したためで、銀行免許をはく奪した上で破綻処理を進め、国有化して預金者の保護を図る。

破綻処理ではKTBの優良資産、預金、負債を切り離して、同行が先ごろ買収した仏大手銀行クレディ・アグリコルのブルガリア子会社に移管する。同子会社を国有化し、新銀行として発足させる。新銀行は21日に始動の予定だ。

KTBの取り付け騒ぎは、同行に大きな影響力を持つ筆頭株主のツヴェタン・ヴァシレフ氏の主導で不透明な取引が行われていると報じられ、経営不安が広がったのがきっかけ。預金者が殺到し、20日までの3日間で90億レフの預金が引き出され、資金不足に陥ったことから政府が同日に管理下に置き、取引を停止した。取り付け騒ぎが3位銀行のファースト・インベストメント・バンク(FIバンク)にも飛び火したことから、政府が信用維持のためEUに33億レフの緊急融資を取り付ける事態に発展した。

BNBによると、同問題を受けてKTBの監査を実施したところ、政府管理下に置かれる直前にヴァシレフ氏が第三者を通じて約2億600万レフの預金を引き出したことや、54億レフに上る融資残高のうち35億レフ分の記録が監査の直前に消失したことが発覚した。しかも、同記録の大半がヴァシレフ氏に対する融資に関連するものと推定されている。

BNBはこうした事態を受けて、KTBを現体制のまま存続させるわけにはいかないと判断し、清算、国有化して再建を進めることを決めた。政府は預金者保護のため、新銀行に15~20億レフの公的支援を注入する方針だ。チョバノフ財務相によると、これによってブルガリアの今年の財政赤字は目標としていた国内総生産(GDP)比1.8%から大幅に膨らみ、EUの財政規律で上限となっている同3%を超過する見込みだ。

政府はKTBの不正行為問題を厳しく追及する方針で、警察はこれまでにルセフ会長と幹部1人をヴァシレフ氏の預金引き出しに関わった疑いで逮捕した。検察当局はBNBの監査結果を検証し、不正の実態解明を進める。

ブルガリアの銀行の破綻は、1996~97年の金融危機以来。当時は14行が経営に行き詰まって破綻に追い込まれた。