2014/7/23

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

欧州の銀行監督一元化にブルガリア参加、金融不安払しょくへ

この記事の要約

ブルガリアのプレヴネリエフ大統領は14日、欧州の銀行の監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する「欧州単一監督メカニズム(SSM)」制度に同国が参加する意向を表明した。国内大手銀行の経営不安で取り付け騒ぎが発生し、同国の金 […]

ブルガリアのプレヴネリエフ大統領は14日、欧州の銀行の監督を欧州中央銀行(ECB)に一元化する「欧州単一監督メカニズム(SSM)」制度に同国が参加する意向を表明した。国内大手銀行の経営不安で取り付け騒ぎが発生し、同国の金融監督に対する不信が強まっていることを受けたもの。同国中央銀行は15日、大統領の指示に基づき、SSM参加に向けた手続きの開始をECBに打診したことを明らかにした。

ブルガリアでは6月、4位銀行コーポレート・コマーシャル・バンク(KTB)のずさんな経営が報じられたことをきっかけに、同行の取り付け騒ぎが発生。これが3位銀行のファースト・インベストメント・バンク(FIバンク)にも飛び火し、金融不安が一気に拡大した。これを受けて政府は、信用維持のためEUに33億レフの緊急融資を要請したほか、KTBの清算、国有化を決めた。

SSMはEU銀行同盟創設の第1段階となるもので、11月からユーロ圏の銀行監督がECBに一元化される。同制度にはユーロ圏18カ国が自動的に参加するほか、EUの非ユーロ圏諸国も準参加国の形で加わることが可能。混乱拡大を回避したいブルガリア政府は、金融不安を払しょくするためには銀行監督をECBに移管し、投資家や預金者の信頼を回復する必要があると判断し、同制度への参加を決めた。

ユーロを導入していないEU10カ国のうち、これまでに英、スウェーデンを除く8カ国がSSM参加の意思を表明している。ロイター通信によると、うちルーマニアが同制度発足を前にECBが進める銀行のストレステスト(健全性審査)、資産査定の実施対象となっているが、SSM参加を正式に申請するのはブルガリアが初めて。同国中銀が15日発表した声明によると、中銀はすでにECBの理事会と接触し、参加申請の準備に入っているという。

一方、ブルガリア政府は18日、KTBの清算、国有化を見送ると発表した。議会が同行の公的救済によって巨額の公的資金注入を迫られ、財政赤字が大きく悪化するとして関連法案の承認を拒否したため。今後はKTBの債権者による話し合いで再建を模索する。ただし、これがまとまらない場合は政府が介入するとしている。

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