ハンガリー政府が計画する外貨建て債務者の新たな救済措置で、銀行が負担する金額が当初予想を大きく上回る見通しだ。国立銀行(MNB)が先ごろ発表した新たな指針によると、顧客への返金額は業界全体で30億ユーロを超える可能性がある。従来は22億ユーロと推定されてきた。
ハンガリーでは先月、関連法が発効した。これにより(1)外貨建て債務返済額のフォリントへの換算に国立銀の為替レートを採用することを義務化(2)銀行による一方的な金利引き上げの禁止――が定められた。同法は2004年5月までさかのぼって適用され、すでに完済した契約も対象となる。
(1)では、銀行は自行と国立銀の為替ートの差額を顧客に弁済しなければならない。(2)では、金利の引き上げの正当性を証明する義務を銀行が負うことになる。
今回発表された国立銀の指針に沿うと、最大手であるOTP銀行の負担額は当初予測の270億フォリントから約1.5倍の410億フォリント(1億3,000万ユーロ)へ膨らむ。
このため、同行は15日の第2四半期決算で2,183億フォリントを引当金に繰り入れた。ウクライナ事業ののれん償却負担(276億フォリント)などもあり、四半期決算として過去最悪の1,530億フォリント(6億5,600万米ドル)の最終赤字を計上した。
墺エルステはすでに顧客への弁済に向けて1億3,000万ユーロを引当金として計上しているが、下半期に約1億7,000万ユーロを積み増す見通しだ。墺ライファイゼン銀も実際の負担額が予測値(1億2,000万~1億6,000万ユーロ)の上限に近くなるとみている。
伊ウニクレディトの墺子会社バンク・オーストリアもこれまでの引当額(3,000万ユーロ)に上積みする必要が出てくるかもしれないとコメントした。