2014/8/20

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

クロアチア建設業界に薄日

この記事の要約

不振が続くクロアチア建設業界に回復の兆しが見えてきた。住宅改修工事と下水道プロジェクトが動き始めており、現地経済誌『プリヴレドニ・ヴィエスニク』によれば、1-5月期の工事許可件数は前年同期から10.1%増加した。ただ、建 […]

不振が続くクロアチア建設業界に回復の兆しが見えてきた。住宅改修工事と下水道プロジェクトが動き始めており、現地経済誌『プリヴレドニ・ヴィエスニク』によれば、1-5月期の工事許可件数は前年同期から10.1%増加した。ただ、建築工事のみが増えて土木工事が減少していることや、住宅新築工事が低調であるなど、分野によって差が出ている。

増えているのは住宅改修工事と下水道プロジェクトだ。住宅の改修・改築では個人による省エネ工事が需要を支え、1-5月期の許可件数は前年同期比で38.9%増加した。水道関連では、廃棄物処理を含めて投資需要が60億ユーロに上ると推定される。

一方、住宅建設は許可手続きが今年初めに簡易化されたものの、供給過剰で不振が続いている。現在も新築物件2万戸が市場にだぶつき、販売促進を目的とした政府の低利ローンも思うような効果をあげていない。住宅完工数はピークだった08年の半分以下に落ち込んでいる。

商用物件は、欧州連合(EU)に加盟したことが中期的にプラスに働きそうだ。複合一貫輸送システムの整備や物流業務の外注化が需要を生むと見込まれる。

土木部門では天然ガスプロジェクトの重要性が高まっている。オミシャリ港の液化天然ガス(LNG)ターミナルの建設工事は、重要インフラを整備するEUの「欧州インフラ連結計画(CEF)」からの資金援助も期待できそうだ。

一方、EU結束基金による助成が決まっているリエカ港―ハンガリー国境間およびザグレブ―ベオグラード間などの鉄道プロジェクトはなかなか進んでいない。

08年以来、クロアチアの建設市場は急速に縮小を続けてきた。今年1-3月期の完工高は23億クーナ(約3億800万ユーロ)で前年同期実績を2.3%下回った(下請業を除く)。(1EUR=7.46HRK)