2014/8/27

総合・マクロ

ダウトオール外相、エルドアン首相の後任に

この記事の要約

トルコ与党・公正発展党(AKP)の幹事会は21日、大統領就任を控えるエルドアン党首の後継者として、ダウトオール外相を指名する方針を固めた。27日の臨時党大会で選出され、新首相に就任する見通し。トルコでは大統領の政党所属が […]

トルコ与党・公正発展党(AKP)の幹事会は21日、大統領就任を控えるエルドアン党首の後継者として、ダウトオール外相を指名する方針を固めた。27日の臨時党大会で選出され、新首相に就任する見通し。トルコでは大統領の政党所属が禁じられており、エルドアン次期大統領は28日の就任前に離党する。

ダウトオール氏はAKPの牙城として知られる中央アナトリア地方コンヤ県の出身。イスタンブールで政治学博士号を取得し、マレーシアなどで学者としてのキャリアを積んだ。2001年にトルコの地域的・世界的な役割についての著作を発表、翌02年の選挙で勝利したAKPの外交政策顧問に選ばれた。09年、エルドアン首相の下で外相に就任した。

エルドアン氏は大統領就任後も自ら政策運営に携わる意欲を示している。ダウトオール氏はエルドアン氏に忠実な人物として知られるが、カリスマ的な魅力はなく、大統領と首相の権力闘争に発展する危険は小さい。同時に外国でも知名度が高く、首相として十分な政治的能力を備えることから、エルドアン氏の求める首相として理想的と言える。

ダウトオール氏の首相就任で、トルコがイスラム色を強める可能性も指摘されている。ダウトオール氏が1990年代に発表した約300本の学術論文を分析したマルマラ大のオズカン助教授によると、その政治的目標は「トルコの地政学的な重要性を活かし、イスラム教を求心力に中東、中央アジア、南東欧の一部を含む新たな『トルコ勢力圏』を創設する」ことにあるという。

外相としては、ババジャン前外相やギュル元外相の穏健路線と一線を画し、結果としてイスラエルやシリア、イラク、エジプトとの関係悪化を招いた。(東欧経済ニュース8月20日号「●トルコ大統領選、エルドアン首相が勝利」を参照)