2014/8/27

総合・マクロ

セルビアが対露制裁見送り、EU加盟視野に天秤外交

この記事の要約

ウクライナ情勢をめぐり欧州連合(EU)とロシアの対立が深まるなか、EU加盟候補国のセルビアは22日、ロシア向けの農産物に補助金を交付するなどして輸出を奨励しない代わりに、対ロ制裁でEUと共同歩調をとらないとの方針を表明し […]

ウクライナ情勢をめぐり欧州連合(EU)とロシアの対立が深まるなか、EU加盟候補国のセルビアは22日、ロシア向けの農産物に補助金を交付するなどして輸出を奨励しない代わりに、対ロ制裁でEUと共同歩調をとらないとの方針を表明した。EUの意向に沿うことで早期加盟を目指しながら、伝統的に政治・経済面で結びつきが強いロシアとの関係を維持するのが狙い。セルビアが打ち出した姿勢は、EUとロシアの間で揺れる他の加盟候補国に影響を与える可能性がある。

ロシアは今月7日、EUや米国などによる追加制裁への対抗措置として、向こう1年間にわたり農産物や食料品の輸入を禁止する措置を発表。EUはこれを受け、セルビアなどの加盟候補国に対し、欧米などに対する禁輸措置を好機と捉えて自国からロシア向けの輸出を拡大することのないよう呼びかけていた。

ブチッチ首相は記者会見で、数日前にベオグラード駐在のEU高官から、EUへの「連帯」を示す意味で農産物などのロシア向け輸出を奨励しないよう求める「覚書」を受け取ったと説明。「セルビアはロシア向けの生産や輸出を止めないが、新たな輸出補助金を導入することはしない。われわれは(EUからの)勧告に従って行動するが、ロシアに対する制裁は発動しない」と述べた。

欧州委員会のフィーレ委員(拡大・欧州近隣政策担当)の報道官は「この問題に対するセルビア政府の対応を歓迎し、ブチッチ首相が表明した建設的なアプローチを高く評価する」とコメントしている。