2014/9/10

総合・マクロ

EUが対ロ追加制裁を決定、停戦実現に向け圧力強化

この記事の要約

欧州連合(EU)は8日、ウクライナ情勢をめぐるロシアへの追加制裁を正式承認した。金融、軍事、エネルギーなどすでに制裁を実施している分野の規制を強化すると共に、資産凍結や渡航禁止などの措置の対象も拡大する。制裁の発動時期に […]

欧州連合(EU)は8日、ウクライナ情勢をめぐるロシアへの追加制裁を正式承認した。金融、軍事、エネルギーなどすでに制裁を実施している分野の規制を強化すると共に、資産凍結や渡航禁止などの措置の対象も拡大する。制裁の発動時期については、ロシア側がウクライナ東部の停戦合意を順守するかどうかを見極めて判断するとしている。

EUは8月30日、ロシア軍がウクライナ東部に侵入したと伝えられたことを受けて緊急首脳会議を開き、1週間以内にロシアに対する追加制裁の具体策をまとめることで合意。欧州委員会が制裁案の策定を進めていた。

追加制裁の具体的な内容は公表されていないが、ファンロンパイ大統領とバローゾ欧州委員長によると、金融取引、武器輸出、エネルギー分野における技術供与の制限など、4つの分野ですでに実施している規制が強化される。また、ロシアの当局者やプーチン大統領に近い実業家など、新たに24人が資産凍結や渡航禁止などの対象リストに追加される。さらにロイター通信などによると、国営ガス会社ガスプロムの石油子会社ガスプロム・ネフトや金融子会社、国営石油会社ロスネフチなど、主要セクターの政府系企業による欧州での資金調達の制限が盛り込まれたもようだ。

ウクライナ政府と同国東部の新ロシア派は5日、EUが追加制裁を発表する数時間前に停戦で合意した。しかし、EU内では実際に停戦が実現するか懐疑的な見方が広がっており、今回の決定はロシアへの圧力を強めて停戦を促す狙いがある。ファンロンパイ大統領とバローゾ委員長はEU各国の首脳に宛てた書簡で、追加制裁は「ウクライナでの行動について、ロシアに方針転換を促すうえで有効な手段になる」と指摘している。