2014/9/24

総合・マクロ

中東欧経済、ウクライナ紛争で成長鈍化見通し=欧州復興開発銀

この記事の要約

欧州復興開発銀行(EBRD)は18日、同行が支援対象とする中東欧と近隣の一部アジア・北アフリカ諸国の経済成長率見通しを引き下げた。ウクライナとロシアの紛争が悪影響を及ぼしているためで、今年については従来予測を0.1ポイン […]

欧州復興開発銀行(EBRD)は18日、同行が支援対象とする中東欧と近隣の一部アジア・北アフリカ諸国の経済成長率見通しを引き下げた。ウクライナとロシアの紛争が悪影響を及ぼしているためで、今年については従来予測を0.1ポイント下回る1.3%に下方修正した。来年も1.7%にとどまるとしており、同地域の成長率は4年連続で3%を下回る見通しだ。

同予測によると、ロシアの成長率は今年が0%で、来年はマイナス0.2%に落ち込む。欧米諸国による同国への制裁とこれに対する対抗措置が、景況感の悪化、資本流出、国際市場での企業の資金調達難につながっており、成長率を押し下げる。

ウクライナは今年マイナス9%に落ち込む。国際通貨基金(IMF)による支援の効果で来年はマイナス3%まで回復するものの、紛争が長期化した場合は下振れリスクを排除できない。

中欧・バルト諸国と南東欧諸国はユーロ経済の改善が押し上げ要因となり、今年それぞれ2.5%、1.9%のプラス成長となる。ただ、安定成長には量的緩和が必要という。

東欧・コーカサスは昨年の1.8%から今年はマイナス3.6%へと大幅に悪化。中央アジアも7.1%から6%に低下する。ロシアと経済的なつながりが深いことが大きな足かせとなる。

トルコは昨年の4%から3%に減速する。同国第2位の輸出先であるイラクでテロ組織「イスラム国」が勢力を強め、緊張が高まっていることが響く。

EBRDは今回、ロシアの軍事的脅威を受けて東欧諸国が軍事支出を増やしていることにも言及。チーフエコノミストのエリック・ベルグロフ氏は「経済危機の影響から脱し切れていないこの時期に軍事負担を増すことは財政を圧迫する」と懸念を示した。