2014/10/1

ロシア

ロシア、格付け会社に子会社設立を義務付け

この記事の要約

ロシア中央銀行はこのほど、同国で業務を展開する外資系格付け会社に現地子会社設立を義務付ける法案を策定した。3大格付け会社に対するロシア当局の監督権限を十全に行使するためと説明している。この秋にも議会の承認を得て、来年から […]

ロシア中央銀行はこのほど、同国で業務を展開する外資系格付け会社に現地子会社設立を義務付ける法案を策定した。3大格付け会社に対するロシア当局の監督権限を十全に行使するためと説明している。この秋にも議会の承認を得て、来年から発効する見通し。

国際金融市場で資金を調達するためには、多くの場合、3大格付け会社から「投資適格」の認定を受けていることが条件となる。これら3社が、ロシアの信用格付けを下げる方向にあることで、すでに政府の借り入れ費用が上昇し、資金調達が難しくなりつつある。

ロシア政府は過去に格付け会社の判断が「政治的影響を受けている」と非難しており、今回の措置で自らの影響力を確保したいところだ。ただ、投資家が投資するかどうかを判断するに当たっては、信用能力を判定する手続きの中立性が重要なポイントとなる。このため、ロシア当局が格付け会社を自らの監督下に置いたとしても、信用力評価を恣意的に引き上げることは不可能、あるいは資金調達戦略上、得策ではない。

スタンダード&プアーズ(S&P)は今年4月にロシア信用格付けを「投資不適格」より1ランク高い「BBBマイナス」に引き下げた。ムーディーズとフィッチはまだ格下げはしていないものの、見通しを「ネガティブ」としている。

S&Pによる格下げ以来、ロシア政府は10年物国債の発行を9度中止した。金利が以前の7.8%から9.5%弱まで跳ね上がったためだ。先月24日に100億ルーブル(2億6,100万米ドル)の10年物国債を発行した際も9.37%の高金利となっている。

S&P、ムーディーズ、フィッチ・レーティングスの米国格付け大手は現在、欧州子会社の事業としてロシア支店を運営している。このため、パリにある欧州証券市場監督局(ESMA)が監督権を握る。