ドナルド・トゥスク氏に代わってポーランド新首相に就任した「市民プラットフォーム(PO)」のエヴァ・コパチ氏(57)は30日に議会で行った所信表明演説で、欧州連合(EU)に対してポーランドの利益を積極的に擁護する姿勢を打ち出した。EUの環境基準の厳格化を防ぐことで、石炭産業を守るとともに、エネルギー価格の高騰を防ぐ。国内政策では社会福祉の強化を目指す。
欧州政策では、ポーランド経済の負担を増やし、エネルギー価格の上昇を招くような方針を一切受け入れないと言明した。基幹産業の一つである石炭業界を「不当な競争」から守るとともに、ロシアへの資源依存から脱却するためにも石炭を見直し、同産業の活性化を図る。
社会政策では、◇未就学児◇高齢者◇教育◇医療――の分野で予算を合計35億ズロチ(10億6,000万米ドル)増やす。トゥスク前首相が退任前に発表していた年金引き上げ、子育て世帯減税の両措置と合わせると、支出規模は73億ズロチ(22億6,000万ドル)に上る。
ウクライナ情勢をめぐっては、◇対ウクライナ支援拡大◇石油・天然ガスの共同調達◇防衛予算拡大◇ポーランド駐留米軍の増員――をEUに働きかける。
トゥスク前首相は2007年以来7年近く首相を務めたが、欧州大統領に就任するため、任期を1年残して退任した。もともと小児科医だったコパチ新首相は2001年に政界入り。トゥスク氏の信用を得て07年の第1次内閣で保健大臣に就任した。10年のポーランド大統領機墜落事件では法医学の経験を生かして犠牲者の検死に当たった。POの選挙勝利でトゥスク政権が2期目に入った11年には女性として初めて下院議長に就任した。(1PLN=32.84JPY)