2014/10/22

総合・マクロ

「ロシアの天然ガス供給停止は対応可能」=欧州委

この記事の要約

欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、ロシアがウクライナ問題をめぐって対立するEUへの天然ガス供給を半年間停止した場合の影響を評価するストレステストの結果を公表した。広範囲に影響が及び、一部の加盟国は深刻な状況に陥るとし […]

欧州連合(EU)の欧州委員会は16日、ロシアがウクライナ問題をめぐって対立するEUへの天然ガス供給を半年間停止した場合の影響を評価するストレステストの結果を公表した。広範囲に影響が及び、一部の加盟国は深刻な状況に陥るとしながらも、対応できると結論付けている。

報告書によると、9月~2月までの6カ月間、供給が完全停止した場合、22%の不足が発生。EU全体で数百万人が暖房を利用できなくなり、ガス料金の上昇、生産分野での操業時間短縮なども起こる。ガス料金はおよそ2倍に急騰する見通しだ。

強く影響を受ける国はブルガリア、スロバキア、フィンランド、エストニアで、特にエストニアはガスの供給が周辺国からも含めて完全に断たれた場合、備蓄が5日で底をつく。

欧州委はロシアのガス供給停止が現実に起こるとは考えていないとしつつも、供給停止への対応策に言及。不足分は近隣国からの輸入や代替燃料でまかなう考えを示した。EUのガス備蓄量は現在、備蓄能力の約90%に達しているという。

エッティンガー欧州委員(エネルギー担当)は記者会見で、供給停止の影響を最小限にとどめるためには、EU加盟国がガスを相互融通するなど協力することが重要だと指摘。「各国が連携すれば乗り切れる」と強調した。また、EUはガスの不足に対して「準備ができている」と明言し、「ガスの政治的利用は意味がない」とロシアをけん制した。