2015/1/7

バルト三国

リトアニアがユーロ導入、共通通貨圏19カ国に拡大

この記事の要約

バルト3国のひとつであるリトアニアで1日、欧州単一通貨ユーロの流通が始まり、首都ビリニュスで導入を祝う記念式典が開かれた。これでユーロを使用する国は19カ国となった。 式典では、ブトケビチュウス首相が銀行の現金自動預け払 […]

バルト3国のひとつであるリトアニアで1日、欧州単一通貨ユーロの流通が始まり、首都ビリニュスで導入を祝う記念式典が開かれた。これでユーロを使用する国は19カ国となった。

式典では、ブトケビチュウス首相が銀行の現金自動預け払い機(ATM)から最初の10ユーロ紙幣を引き出すパフォーマンスを披露。「ユーロは我が国の経済的・政治的安定を保証するだろう」と語った。また、リトアニア中央銀行のヴァシリアウスカス総裁は記者団に対し、「ユーロへの移行はスムーズであり成功だった」と述べた。なお、旧通貨リタスはユーロ導入後も2週間は法定通貨として流通し、ユーロとリタスによる二重価格表記は6月まで継続する。

中銀が昨年11月に発表した世論調査結果では、53%がユーロ導入に賛成、反対は39%で、賛成が反対を上回った。一方で、欧州委員会がEU加盟国の市民を対象に実施する世論調査「ユーロバロメーター」では、ユーロ導入によりアイデンティティの一部が失われると回答した人の割合は全体の3分の2、物価上昇への懸念を表した人は4分の3にのぼった。

リトアニアは人口およそ300万人で、1990年にソ連からの独立を果たし、2004年に北大西洋条約機構(NATO)と欧州連合(EU)に加盟した。ウクライナ問題などによりロシアと欧米の対立が深まる中、ユーロ導入を機に経済面でロシア依存からの脱却を加速させ、欧州との結びつきを強化するものと見られる。旧ソ連圏のバルト三国ではエストニアとラトビアがそれぞれ11年と14年にユーロを導入している。