2015/1/14

チェコ・スロバキア

チェコのエネルギー大手EPH、独エーオンのイタリア発電所を買収

この記事の要約

チェコのエネルギー産業ホールディング(EPH)は12日、独電力大手エーオンのイタリア発電所を買収すると発表した。合計出力は、チェコの原発出力の2倍以上に当たる4,500メガワット。取引額は未公表だが、イタリアメディアによ […]

チェコのエネルギー産業ホールディング(EPH)は12日、独電力大手エーオンのイタリア発電所を買収すると発表した。合計出力は、チェコの原発出力の2倍以上に当たる4,500メガワット。取引額は未公表だが、イタリアメディアによると600億コルナ弱(21億1,400万ユーロ)と推定される。欧州競争当局の承認を経て、今年第2四半期にも手続きが完了する予定だ。

対象となるのは、サルデーニャ島フィウーメサントにある石炭発電所(発電能力600メガワット)と、イタリア本土およびシシリア島にあるガス発電所6カ所(計3,900メガワット)。EPHのクレティンスキー社長は、「発電能力が不十分な西欧諸国に進出するグループ戦略に沿うもの。電力価格を抑えつつ、安定供給を提供したい」とコメントした。

投資会社BHセキュリティーズのアナリスト、ペトル・フリノマズ氏はEPHの戦略について、「債務圧縮を迫られるエネルギー企業からできるだけ多くの資産を買い集め、将来の電力価格上昇で利益をあげる狙い。買収のために借金をしており、一種の賭けだ」と分析する。

エーオンは310億ユーロ(8,800億コルナ)の債務を抱え、売却を含む事業再編を実施中。今回、イタリア発電所を手放すのもその一環だ。

■創立7年で大手に成長

EPHは2009年に投資会社のPPFとJ&T、クレティンスキー氏の合弁会社として設立された。現在ではチェコ、スロバキア、ポーランド、ドイツに40企業を擁し、採炭、天然ガス、発電、電力取引、熱供給の分野で事業を展開する。保有する発電能力は1,745メガワット弱、年間発電量は8.5テラワット時に上る。従業員数は8,000人超、2012年の連結売上高は1,150億コルナ、営業利益(EBITDA)は327億コルナだった。

現在の資本構成は、クレティンスキー氏とJ&Tの創始者パトリック・トカシュ氏が各37%で、残りをJ&Tの他の投資家が保有する。(1CZK=4.94JPY)