2015/2/25

総合・マクロ

プーチン大統領、ハンガリーとの友好関係をアピール

この記事の要約

プーチン大統領は17日にハンガリーを訪問し、同国のオルバン首相と会談した。ウクライナ紛争が長期化の様相を示すなか、欧州連合(EU)の加盟国であるハンガリーとの「友好関係」を内外にアピールする狙いがあるとみられている。ハン […]

プーチン大統領は17日にハンガリーを訪問し、同国のオルバン首相と会談した。ウクライナ紛争が長期化の様相を示すなか、欧州連合(EU)の加盟国であるハンガリーとの「友好関係」を内外にアピールする狙いがあるとみられている。ハンガリー政府の優先課題であるエネルギー安定供給で譲歩して協力関係を固めたい意向のようだ。

プーチン大統領がEU加盟国を訪れるのはウクライナ政変後で初めて。大統領の訪問は、ロシアとの二国間首脳会談を禁じるEUの方針に反するが、オルバン首相は天然ガス調達契約の年末失効を前に断れなかったもようだ。

両首脳は、(1)新たなガス調達契約の締結(2)ガスプロムのハンガリー基地におけるガス備蓄量を拡大(3)ロシアとトルコが計画する新たな天然ガスパイプラインと、ハンガリーの送ガス網を結ぶ国際パイプライン(トルコ―ギリシャ―南東欧―ハンガリー)の建設を検討――で合意した。

(1)では、ハンガリーに一定量の調達を義務付けず、実際の購入量に応じて代金を算出する方法を採用する。(2)は、実現すれば昨年合意した7億立方メートルから、さらに増量することになる。(3)は昨年末にロシアが取りやめた「サウス・ストリーム」計画の代替プロジェクトだ。新計画ではトルコとギリシャの国境までしかパイプラインを敷設しない。このため、そもそもの目的地である中欧までどうガスを運ぶかは、欧州側が解決しなければならない。

オルバン首相は、ロシアに対するハンガリーのエネルギー依存を理由に、対ロシア政策の強硬化に反対。プーチン大統領の強権的政治手法を賛美するなど、他のEU加盟国との距離感が強まっていた。しかし、最近はメルケル独首相が主導する対ロ外交方針を支持したほか、12日の新ミンスク停戦合意後にポロシェンコ・ウクライナ大統領と会談するなど、軌道修正を図っている。