2015/3/4

ハンガリー

ハンガリー与党、議会補選で落選

この記事の要約

ハンガリーで先月に実施された議会の補欠選挙で、与党・フィデスが敗北を喫した。これによって同党は2010年に政権に就いて以来、初めて憲法改正に必要な3分の2の議席を下回ることになる。 ただ、フィデスが予定していた憲法改正は […]

ハンガリーで先月に実施された議会の補欠選挙で、与党・フィデスが敗北を喫した。これによって同党は2010年に政権に就いて以来、初めて憲法改正に必要な3分の2の議席を下回ることになる。

ただ、フィデスが予定していた憲法改正は実施済みで、今後の政策運営に大きな影響はない見通しだ。それでも、昨秋以来の汚職疑惑や政策・人事での失敗で、フィデスの人気が落ちている現状が浮き彫りになった。

今回の補欠選は、ティボル・ナヴラチチ議員(元法相)の欧州委員就任に伴い、ヴェスプレーム選挙区で実施された。選管の発表によると、野党の社会党などが推薦する無所属のゾルターン・ケース候補の得票率が42.6%に達し、フィデスのラヨシュ・ネーメディ候補(同33.8%)に大差をつけて当選した。投票率は44.9%と低く、以前、フィデスを支持していた有権者が棄権した結果とみられている。

ヴェスプレームは、昨年4月の議会選挙でナヴラチチ元法相が2位候補に約20ポイントの差をつけて当選するなど、フィデスの牙城として知られる。また、ケース候補の新自由主義路線に対しては野党の評価が分かれ、環境・リベラル政党の「新しい政治の形(LMP)」が独自候補を立てるなど、野党統一候補の擁立は成らなかった。

このように、フィデスに有利な状況であったにもかかわらず敗北したことは、与党の求心力の急速な弱まりを示している。(東欧経済ニュース2014年4月9日号「ハンガリー議会選挙、与党が圧勝」を参照)