2015/3/18

総合・マクロ

IMF、ウクライナに175億ドルの追加支援

この記事の要約

国際通貨基金(IMF)は11日の理事会で、深刻な経済危機に陥っているウクライナに対する175億米ドルの追加支援を正式に承認した。このうち約50億ドルの融資は直ちに実行し、年内にさらに50億ドルを供与する。 支援期間は4年 […]

国際通貨基金(IMF)は11日の理事会で、深刻な経済危機に陥っているウクライナに対する175億米ドルの追加支援を正式に承認した。このうち約50億ドルの融資は直ちに実行し、年内にさらに50億ドルを供与する。

支援期間は4年間。IMFのラガルド専務理事は、「ウクライナ経済の早期安定化と、中期的に力強い成長を回復し、ウクライナの人々の生活水準を改善することを目的とする抜本的で広範な一連の改革を支援する」と述べた。

ウクライナでは親ロシア派武装勢力との停戦合意後も東部で不安定な情勢が続き、経済の混乱にも歯止めがかかっていない。政府は今年の経済成長率をマイナス5.5%と見込むが、実際にはこれを大きく下回る公算が大きくなっている。IMFの追加支援は、米国や欧州連合(EU)からの支援や債務再編を含めた総額400億ドルにのぼる国際支援パッケージの一環として実施される。ラガルド専務理事は、新たなIMFの新たな支援計画は「ウクライナの一段と長期化する国際収支上のニーズという性質に見合ったものであり、融資内容が好条件であるとともに、柔軟性や時間、資金を今以上に提供するものだ」と説明する一方で、IMFの包括的な経済改革プログラムについて「意欲的だが、ウクライナ東部での紛争によるリスクも伴う」として、同国東部での停戦合意の順守を求めた。

ウクライナ経済再建には、国際金融支援と並んで債務再編交渉の成否が重要なカギを握る。ウクライナ国債の主な保有者はフランクリン・テンプルトンなどの大手投資ファンドで、債務再編をめぐる交渉は13日に開始される予定。ヤレシコ財務相はIMFによる支援策の第1回審査を予定している6月までに合意を取り付けたい考えを示している。なお、ロシアも12月に償還を迎えるウクライナ国債、30億ドルを保有しているが、同国のシルアノフ財務相は先月、債務再編に応じる考えはないことを明らかにしている。