2015/3/18

総合・マクロ

クロアチアとモンテネグロ、アドリア海沿いにパイプラインを建設

この記事の要約

クロアチアとモンテネグロは10日、アドリア海沿いに天然ガスパイプライン「イオニア・アドリア・パイプライン(IAP)」を建設し、2020年までにアドリア海横断パイプライン(TAP)に接続する計画を発表した。天然ガス調達にお […]

クロアチアとモンテネグロは10日、アドリア海沿いに天然ガスパイプライン「イオニア・アドリア・パイプライン(IAP)」を建設し、2020年までにアドリア海横断パイプライン(TAP)に接続する計画を発表した。天然ガス調達におけるロシア依存を縮小し、エネルギー供給の安定化を目指す欧州の戦略に沿うものだ。TAPと連動し、アゼルバイジャン産天然ガスを欧州に供給する中継地としての地盤固めを狙う。

新パイプラインは、アルバニアのフィエルからモンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアのクルク島を結ぶ。投資額は7億ユーロ。ボスニア・ヘルツェゴビナにも参加を働きかける。

欧州のエネルギー戦略に関連して、クロアチアはクルク島に液化天然ガス(LNG)ターミナルを整備し、そこからポーランドのLNGターミナルまで伸びる南北パイプラインの敷設に参加する予定だ。

また、クロアチアとモンテネグロはアドリア海の資源開発で入札を実施中。アルバニアはカナダ企業と共同で油田を開発している。国内の資源生産を拡大し、パイプラインを整備することで、欧州のエネルギー調達安定にも貢献できるとの見方だ。

南東欧に天然ガスを供給するパイプラインはいくつも計画されていた。しかし、オーストリア、ブルガリア、ルーマニア、ハンガリーなどが支持するナブッコ計画は2013年、TAPに敗れて中止。ロシアが主導していたサウス・ストリーム計画も昨年12月に凍結された。このため、トルコからギリシャ、アルバニアを経由しイタリアに至るTAPが唯一のプロジェクトとして残っている。