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2015/5/20

総合・マクロ

ウクライナ政府、民間債権者グループに元本削減要請

この記事の要約

ウクライナ政府が欧米の債権者グループに対し、元本減額を含む債務再編を強く要請している。交渉は難航しているが、ヤレスコ財務相は「ウクライナ経済の再生に必要な措置」として、来月中に同意を得たい考えだ。 米テンプルトンら機関投 […]

ウクライナ政府が欧米の債権者グループに対し、元本減額を含む債務再編を強く要請している。交渉は難航しているが、ヤレスコ財務相は「ウクライナ経済の再生に必要な措置」として、来月中に同意を得たい考えだ。

米テンプルトンら機関投資家5社から成る民間の債権者グループは、ウクライナ国債の半分以上(230億米ドル)を保有する。政府は元本減額を含む再編で、返済額の153億ドル圧縮を狙っている。これに対して債権者グループは、元本の減額ではなく、支払期限の延長と利払い軽減で対応したい意向だ。

国際通貨基金(IMF)の専門家グループは12日からキエフを訪れ、今後の支援に向けて政府と交渉している。支援の成功には債務減免が不可避とみている。

ヤレスコ財務相は経済再生への条件となる国際収支改善と返済能力の強化、国内総生産(GDP)比での政府債務の縮小には「債務削減が不可避」と指摘。その根拠として、今年に入って受けた新規債務30億ドルのうち24億ドルが利払いに消えたことに言及した。

また、経済再生に向けては政府の責任ある施策が最も重要という認識を強調。規制緩和や国営企業の再編・民営化、汚職対策強化など事業環境の改善に向けた改革を推進していく決意を示した。

ロシアは今回の債務再編交渉には加わっていない。親ロ派のヤヌコビッチ大統領が在任していた13年12月に融資した30億ドルは、今年末に償還期限を迎える。

ウクライナ経済は1-3月期に前年同期比で17.6%も縮小した。前期比では6.5%のマイナス。4月のインフレ率は60.9%に上った。通貨フリブナの為替相場は東部での戦闘が本格化して以来、約50%下落した。