2015/8/19

総合・マクロ

ロシアが禁輸措置を拡大、EU非加盟国も対象に

この記事の要約

ロシアのメドベージェフ首相は13日、ウクライナ情勢を受けた欧米による対ロ制裁への対抗措置として、新たにアイスランド、リヒテンシュタイン、アルバニア、モンテネグロの食料品を輸入禁止の対象に追加したと発表した。欧州連合(EU […]

ロシアのメドベージェフ首相は13日、ウクライナ情勢を受けた欧米による対ロ制裁への対抗措置として、新たにアイスランド、リヒテンシュタイン、アルバニア、モンテネグロの食料品を輸入禁止の対象に追加したと発表した。欧州連合(EU)に同調する非加盟国を禁輸措置の対象に加えることで、欧米との対決姿勢を鮮明にし、対ロ制裁への対抗措置を徹底する狙いがある。同首相はまた、EUがウクライナと結んだ連合協定の柱となる自由貿易協定(FTA)が2016年1月に発効した場合、ウクライナもただちに禁輸措置の対象国に加える方針を明らかにした。

ロシアは同国に対する経済制裁を発動したEU、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェーを対象に、昨年8月から野菜、果物、乳製品、魚介類などの輸入を禁止している。当初は1年間の予定だったが、米国に続いてEUも対ロ制裁を来年1月まで延長する方針を打ち出したことを受け、ロシアは禁輸措置を来年8月まで1年延長した。しかし、隣国ベラルーシなどを経由して欧州産の農産物などが流入していることから、プーチン大統領は7月下旬、欧米から「密輸」された食料品の廃棄処分を命じる大統領令に署名。今月に入り、欧州産のチーズや野菜・果物などを大量に破棄している。

一方、ロシアはEUとウクライナのFTAが発効した場合、ウクライナ経由でEUから競争力のある安価な商品が大量に流入する事態を懸念している。EUとウクライナは昨年3月に連合協定の政治分野、6月に経済分野の条項に署名。欧州議会とウクライナ最高会議(国会)がそれぞれ9月に批准したが、協定締結に強く反発するロシアの立場を考慮して、FTAの発効を来年1月まで延期している。メドベージェフ首相は「ロシアはウクライナに猶予期間を与えることに同意したが、合意形成の兆しがみられない」と指摘。FTAが予定通りに発効すれば、ただちに禁輸措置を適用すると警告した。