2015/9/23

バルト三国

エストニアが新航空会社設立準備、国営航空の補助金返納にらみ

この記事の要約

エストニア政府は経営難に陥っている国営エストニア航空に代わり、新たに政府が全額出資する航空会社を設立する準備を進めている。財務省のロイデ報道官が15日、明らかにした。エストニア航空をめぐっては、一連の公的支援策が欧州連合 […]

エストニア政府は経営難に陥っている国営エストニア航空に代わり、新たに政府が全額出資する航空会社を設立する準備を進めている。財務省のロイデ報道官が15日、明らかにした。エストニア航空をめぐっては、一連の公的支援策が欧州連合(EU)の国家補助規定に違反する疑いがあるとして、欧州委員会が調査を進めている。最終的にルール違反と認定され、約6,000万ユーロに上る補助金の返還を命じられた場合、同社は存続が不可能になるため、新たなナショナル・フラッグ・キャリアを設立して業務を引き継ぐ構想だ。

エストニア航空は同国がソビエト連邦からの独立を回復した1991年に民間航空会社として発足したが、2006年頃から急速に経営が悪化し、5年前に国有化された。政府は救済策として、12年に830万ユーロの緊急融資を決定し、欧州委に認可を申請したが、審査の過程で09年以降、3回に分けて総額5,720万ユーロの公的資金を注入していたことが発覚。EUの国家補助規定では、特定の企業への公的支援が認められるのは長期的再建が可能な場合に限り、10年間で1回のみと定められているため、欧州委は同ルールに抵触する疑いがあるとして、13年から調査を進めている。

ロイデ報道官によると、政府は新たな航空会社の設立に向けて4,070万ユーロの予算を確保しており、段階的に国内外の投資家からの出資を認める方針。また、エストニア航空に対する資金支援が合法と認められ、補助金を返還する必要がない場合でも新会社を立ち上げ、両社を統合する計画という。