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2015/11/4

CIS諸国

アゼルバイジャン選挙、与党が過半数を確保

この記事の要約

アゼルバイジャンで11月1日、議会選挙(定数:125)が行われ、イルハム・アリエフ大統領が率いる与党・新アゼルバイジャン党が予想通り過半数議席を確保した。主要政党は、政府が公正な選挙運動を阻害したとして、支持者に投票しな […]

アゼルバイジャンで11月1日、議会選挙(定数:125)が行われ、イルハム・アリエフ大統領が率いる与党・新アゼルバイジャン党が予想通り過半数議席を確保した。主要政党は、政府が公正な選挙運動を阻害したとして、支持者に投票しないよう呼びかけていた。

中央選管の2日発表によると、新アゼルバイジャン党が71議席を獲得し、過半数を確保した。投票率は55.7%だった。

今回も政府は野党の選挙運動を弾圧したもようだ。国際人権団体のアムネスティー・インターナショナル(ai)によると、政府の方針に「疑問を投げかけた」ことを理由に、少なくとも20人が逮捕されている。アゼルバイジャン民主党、民主勢力国民評議会(NSDS)、ミュサヴァト党(平等党)などの主要政党はこの状況を受け、与党を利するだけの「アリバイ投票」のボイコットを呼びかけた。

今回の選挙では、アゼルバイジャン当局との対立を受けて、欧州安全保障協力機構(OSCE)が監視団派遣を見合わせた。その結果、中立的機関による選挙監視は行われなかった。

アリエフ大統領は父ヘイダル・アリエフ前大統領の後を継ぎ、2003年から現職にある。大統領任期の限度を2期としていた憲法を09年に改正し、終身大統領への道を開いた。父のヘイダル氏はソ連時代の1969~82年まで当時のアゼルバイジャン共和国最高権力者の地位にあり、アリエフ一家は断続的に45年あまりにわたって同国に君臨していることになる。

欧州連合(EU)は公正選挙の実施を重視しており、形がい化した選挙がまかり通るベラルーシに対しては制裁など、一歩踏み込んだ措置をとってきた。しかし、アゼルバイジャンについては、これまで具体的な措置はとっていない。同国が重要なエネルギー供給国であることがその背景にあるとみられている。