ポーランドの与党「法と正義(PiS)」は、来年から外資系銀行と大手小売店に特別税を課す方針だ。ハンガリーのオルバン政権がとった措置にならうもので、課税対象となる企業は大きな負担を背負うことになる。
3日の独『南ドイツ新聞』によると、PiSの銀行税は外資比率60%以上の銀行を対象にする。これに該当するのは独コメルツ銀行、墺ライファイゼン銀行、仏クレディ・アグリコールの3行で、来年1月から資産の0.39%を税として徴収する。
資産の算出法など詳細が未決定のため、具体的な税額はまだ分からないものの、巨額になることは確かだ。国際通貨基金(IMF)によると、ポーランドの銀行の対総資産利益比率は1.05%で、その半分以上が徴税される計算となる。銀行業界の総利益は約160億ズロチ(約37億7,000万ユーロ)だ。
特別税だけでなく、金融取引税の導入や、外貨建て債務の強制両替措置も検討されている。ポーランドのスイスフラン建て住宅ローン契約数は50万件を超え、年初来のフラン高で残高が大きく膨らんでいる。実際に返済が遅延しているのは3万8,000件に過ぎないが、PiSは実勢為替相場よりも債務者に有利なレートでズロチへ換算することを銀行に義務付けたい意向だ。
銀行側は、仮に契約時の為替相場で換算すれば業界の負担額が600億ズロチに上り、背負いきれないと反発している。
PiSは、外国企業が多く進出する流通業界でも、来年1-3月期中に新税を導入する計画だ。売り場面積が250平方メートル以上の店舗に対し、売上高の2%の税を課す。これによる歳入は35億ズロチ(約8億ユーロ)に上るとみられている。
これらの税は、PiSが公約した児童手当導入の財源となる。1人あたり月500ズロチ(117ユーロ)を支給する内容で、来年2~4月に導入する意向だ。この支出をまかなうには年130億~220億ズロチの財源が必要とみられている。(1PLN=31.15JPY)