2015/12/9

ルーマニア・ブルガリア・その他南東欧・トルコ

露の対トルコ制裁、GDPを0.3~0.7ポイント押し下げ=EBRD

この記事の要約

欧州復興開発銀行(EBRD)は7日、トルコの国内総生産(GDP)が来年、ロシアによる制裁の影響で0.3~0.7ポイント低下するとの予測を発表した。業界別では観光業、季節的には観光シーズンの夏にダメージが大きくなる見通し。 […]

欧州復興開発銀行(EBRD)は7日、トルコの国内総生産(GDP)が来年、ロシアによる制裁の影響で0.3~0.7ポイント低下するとの予測を発表した。業界別では観光業、季節的には観光シーズンの夏にダメージが大きくなる見通し。一方で、ロシアでは青果の輸入品が値上がりしてインフレ圧力が高まるが、GDPへの影響は限定的となるもようだ。

EBRDは、ロシアの制裁が来年1月1日に予告通り実施され、年末まで継続したと仮定して、その影響を算出した。観光業では国外からの来訪客の12.2%をロシアが占めており、夏を中心に売上高の減少が避けられない見通しだ。また、建設業ではロシアからの受注でGDPの0.3~0.4%を稼ぎ出しており、新規受注が入らなくなれば収益減に直結する。

2014年の対トルコ国外直接投資(FDI)でロシアの投資額は7億3,000万米ドル(トルコGDPの1%)に上り、国別で4位につけている。この関連では、建設中のアックユ原発や、計画策定段階のトルコ・ストリーム敷設など、ロシアの関わる大型プロジェクトの先行きにも注目が集まる。

トルコはエネルギー需要の半分強をロシアから輸入しているが、現時点でロシアがトルコへの供給をストップする可能性は極めて小さい。

一方、ロシアが受ける影響としては、トルコ産青果の禁輸で価格が平均25%上昇し、インフレ率が全体として0.1~0.2ポイント高くなることが考えられる。

また、トルコ旅行の代わりに国内旅行の需要が増えれば、旅費が高騰し、インフレ率を0.5ポイント押し上げるとみられている。