露民間医療市場が成長、海外医療機器メーカーにチャンス

ロシアの民間医療市場が大きく成長していることを背景にドイツの医療機器メーカーに大きなチャンスが訪れている。最新の機器や設備を必要とする同国の医療機関が増えドイツメーカーの高度な医療機器に対する需要が増加すると予想されるためだ。

同国では民間医療機関による医療サービスの提供額が2014年に前年比24%増となる4,452億ルーブル(53億4,000万ユーロ)に達した。全体ではロシア市民のうち8%が民間病院を利用した。

コンサルティング会社のアーネストヤングのロシア支社が昨年発表したアンケート調査によると、2014年には現地で最大規模の20の医療機関のうち44%で患者数が増加した。患者数の増加率は前年比25~30%に上る。その理由としては民間病院の方が優れた医療技術を持っていることや待ち時間や診療時間が短く、患者への対応が親切であることなどがある。また公的健康保険のOMSでカバーされてきた国営の医療機関においても一部自己負担が求められるようになったことも理由の1つである。

また2014年から2015年にかけて西欧や米国への医療観光がルーブル安の影響で減少したことも背景にある。2015年以前には海外での医療や保養を目的として年間15万人が海外に出国していたが2015年の医療観光への参加者は前年比で30%から40%減少したと予想されている。

同国の公的医療機関をめぐる環境は悪化している。景気の低迷と共にロシアの連邦政府や地方政府の税収は減少し医療分野でも支出を抑制しようとしている。計画では公立病院の数が2018までに11.2%、公立診療所が7.2%削減される予定だ。連邦政府予算では健康医療関連が前年比8%減の4,900億ルーブルで2014年と2015年に続き今年も削減された。医師数も2014年には前年に比べ1万2,800人減少した。

ロシアでは昨年国内事業者を優先する政府調達手続が強化されている。民間医療機関の成長を通し国産の医療機器を選択する必要がない需要者が増えることで、海外事業者の参入の余地は拡大するはずだ。(1RUB=1.52JPY)

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