2016/3/9

総合・マクロ

スロバキア議会選、与党が過半数割れ

この記事の要約

スロバキアで5日行われた議会選挙(定員150)は、与党の中道左派「方向党・社会民主主義」が第1党の座を維持したものの、反欧州連合(EU)派の躍進により、過半数を確保できなかった。昨年9月にEUが多数決で押し切った難民受け […]

スロバキアで5日行われた議会選挙(定員150)は、与党の中道左派「方向党・社会民主主義」が第1党の座を維持したものの、反欧州連合(EU)派の躍進により、過半数を確保できなかった。昨年9月にEUが多数決で押し切った難民受け入れ枠に賛成する2党は1議席も確保できず、同国でEUに批判的な気運が高まっていることが浮き彫りとなった。

フィツォ首相率いる与党が獲得したのは49議席。改選前の83議席から大きく後退し、過半数を割り込んだ。得票率は28.3%と、2012年の前回選挙から16.1ポイント低下した。EUの難民受け入れ政策に賛成する民主キリスト教連合(SDKU)とキリスト教民主運動(KDH)は、得票率が議会入りに必要な5%を確保できなかった。同じキリスト教民主派では、「ネットワーク(Siet)」とハンガリー少数派政党の「橋(Most-Hid)」が議席を得たが、キリスト教民主派全体としては改選前の29議席から21議席に減らした。

一方で、EU懐疑派のリベラル政党「自由と連帯(SaS)」は10議席増の21議席となり、第2党に躍進。与党の汚職を批判する「普通の人々と独立した人物(OLaNo-Nova)」は、3議席増の19議席を確保し、第3党に浮上した。

このほか、前回に惨敗して議席を失った急進右派の「国民党(SNS)」が15議席を獲得して議会に復帰。極右政党「我々のスロバキア(LS-NS)」も14議席を確保した。両党はEU脱退を訴えている。わずか1カ月前に結党したEU批判政党「我々は家族(SmeRodina)」も11議席を得た。

EUを批判する会派(SaS、SNS、LS-NS、SmeRodina)をあわせた議席数は61議席で定数の4割を超える。また、他の政党も難民受け入れ問題ではEUと一線を画しており、スロバキア国民が難民対策をめぐるEUの方針に反対の姿勢を明確にした形だ。

方向党・社会民主主義は政権発足に向けて連立交渉を進めることになるが、議会内会派は改選前の6政党から8政党に増え、協議の難航が予想される。

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