2016/10/12

総合・マクロ

露・トルコ両大統領が会談、「トルコ・ストリーム」計画再開で合意

この記事の要約

ロシアのプーチン大統領は10日、訪問先のトルコで同国のエルドアン大統領と会談し、凍結されていた天然ガスパイプライン「トルコ・ストリーム」の敷設計画再開で合意した。懸案となっていた供給価格についても合意が得られた。ロシアに […]

ロシアのプーチン大統領は10日、訪問先のトルコで同国のエルドアン大統領と会談し、凍結されていた天然ガスパイプライン「トルコ・ストリーム」の敷設計画再開で合意した。懸案となっていた供給価格についても合意が得られた。ロシアによるトルコ農産物禁輸措置の段階的解除も決まり、8月以来、進められてきた両国関係の正常化を象徴するものとなった。

「トルコ・ストリーム」は2本のパイプラインからなる。1本めは来年の着工と2019年の開通見通しで、当初はトルコ市場向けの天然ガスを輸送し、その後欧州市場向けの輸送も開始する。2本めは欧州市場向けガスの供給量を確保するもので、トルコをエネルギー輸送経由基地(ハブ)に育てるエルドアン大統領の目標に大きく近づく。

両国はこのほか、経済、政治、防衛、観光、文化の分野における交渉を続けていくことで合意した。

ロシアはウクライナを迂回する天然ガス輸送路として「サウス・ストリーム」の建設を計画していたが、欧州連合(EU)の理解が得られず2014年12月、中止を発表。その直後に、代替プランとして黒海を経由してトルコに至る「トルコ・ストリーム」計画を発表した。

しかし、昨年11月のトルコによるロシア軍機撃墜事件を機に両国間の関係が悪化し、ロシアは同計画を凍結した。また、トルコからの農産物禁輸、トルコへのチャーター便運航禁止、トルコ旅行中止勧告といった制裁措置を実施した。

トルコ経済が相次ぐテロ事件や7月のクーデター未遂事件で大きな打撃を受ける中、とりわけロシア人観光客の激減はこれに追い打ちをかけていた。

両国は、エルドアン大統領が6月末にロシアに撃墜事件を謝罪したのを機に関係正常化に乗り出した。8月、9月に両国大統領が会談し、ロシアはトルコへの制裁措置を段階的に解除してきた。今回、大型プロジェクトの「トルコ・ストリーム」再開が決まったことで、両国の関係はほぼ撃墜事件以前の状況に戻ったといえる。