トルコ、財政出動で景気を刺激

トルコのユルドゥルム首相は4日、2017~19年を対象とする新しい中期経済計画を発表した。相次ぐテロ事件やクーデター未遂事件の影響を織り込み、今年の景気減速を見込んだうえで、その対応策を示すものだ。

首相は計画の5本の柱として、◇人材開発◇労働市場の活性化◇技術力・革新力の強化◇物的インフラの強化◇制度・公的機関の質向上――を挙げた。また、開発の遅れている東部・南東部でのインフラ整備に新たに取り組むほか、投資優遇制度を実施するとし、これらへの支出によって一時的に財政赤字が拡大する見通しを示した。一方でインフレ率と財政赤字の動向も注視し、バランスを保つ姿勢を強調した。

今年の経済成長予測は従来の4.5%から3.2%へ引き下げ、昨年実績の4.0%を下回る見通しを公表した。来年についても従来予測の5.0%から4.4%へ下方修正した。一方、2018年から景気が加速するとし、同年と19年は5.0%の伸びを見込む。

財政赤字は昨年の国内総生産(GDP)比1.2%から今年は1.6%、来年は1.9%に拡大する見通しだ。従来はそれぞれ1.3%、1%を見込んでいた。拡大は景気刺激に向けた財政出動によるもので、その後は縮小に向かい、19年までに1.3%に低下するとみている。

経常赤字は今年313億米ドル(対GDP比4.3%)、来年320億ドル(4.2%)を予測する。従来はそれぞれ3.9%、3.7%を予想していた。

今年のインフレ率は中銀の7月予想と同じ7.5%を目標にする。来年と再来年についてはそれぞれ6.5%(中銀:6%)、5.0%の予想で、以前の中期計画と同水準だ。

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