ロシア最大手銀行の国営ズベルバンクのグレフ総裁は昨年12月末、現地の複数メディアに対し、同行の事業再編や今後の見通しについて明らかにした。その中で同総裁は、支店数の半減と2億ドル規模の新たなベンチャーファンドの立ち上げに言及するとともに、2017年の見通しについて、石油価格のさらなる下落が大きな経済の変動につながることはないとの考えを示した。
グレフ総裁は国営テレビチャンネル『ロシア24』とのインタビューで、今後5年間で支店の半数を閉鎖する計画を明らかにした。利用者の少ない主要都市の店舗を対象とし、当面は農村部の支店の閉鎖は行わないと述べた他、現金自動引出し機(ATM)は残すと言明した。また、すべての店舗を閉鎖してオンラインサービスへ移行する議論については時期尚早だと述べた。
同総裁はロシア日刊紙『ベドモスチ』に対しては、中銀が自己資本比率の引き上げなど銀行規制を強化していることについて、監督当局は欧米と同様に業務を行っており特に厳しいものとは考えないとの見解を示した。また同行が新たに立ち上げる2つ目のベンチャーファンドについて、ファンドの規模は2億ドル、同行の出資額の上限を最大5,000万ドルとすると述べた。投資先の重点分野は人工知能(AI)、生体認証技術、サイバーセキュリティ、ビッグデータ、予知分析、シェアエコノミーなどに置くという。
同総裁は昨年7月の講演で、5年前まで人が扱っていた決定事項の約50%を現在ではコンピューターが担当しているとし、5年余りでAIを活用した意思決定の割合は80%まで上昇するとの見通しを示している。
ズベルバンクの昨年1-9月期の純利益は2015年通年の2倍に達した他、株式時価総額で国営ガス会社ガスプロムを上回り、石油・ガス部門以外では初めて同国最大の企業となっている。