IMFがウクライナに融資実行

国際通貨基金(IMF)は4日、ウクライナに対し10億ドルの融資を実行したと発表した。今回の融資は3月11日にIMFの理事会で承認された175億ドルの追加支援策の一部となるもの。新ロシア派が活動する東部地域に対する封鎖措置を政府が導入したことを受け、その影響を評価するため融資の実施が延期されていた。

今回の10億ドルで同国は175億ドルのうち83.8億ドルを受け取ったことになる。ウクライナ国民銀行(中央銀行)のチュリー副総裁は、同国の保有外貨が161億ドルに増加すると共に為替の自由化に向け前進したと述べた。今年中にさらに3回に分けて計45億ドルが融資される予定。

IMFは同国における紛争のコストは大きいとしながらも、政府が政治・構造改革を続ける必要性を強調した。特に国有企業の民営化などの改革や農地売買の一時停止措置の廃止、受給開始年齢引き上げを含む年金改革、汚職防止等に関する司法改革などを求めている。一方でIMFは中銀のインフレ抑制策、政府の財政支出削減努力と国内のガス販売価格引き上げを高く評価した。

IMFと世界銀行が同時に発表した2017年の同国の経済見通しでは、両者共に2%の国内総生産(GDP)の伸びを予想している。16年のGDPは農作物の豊作を反映して前年比2.3%増加し、3年ぶりのプラス成長となった。14年と15年は2年連続のマイナスとなり累積で16%減少していた。

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