野鳥の宝庫~スロバキア

スロバキアの中でも人口が多く、経済が繁栄する首都ブラチスラバ。そのイメージにはそぐわないが、実は野鳥観察(バードウオッチング)の穴場なのだそうだ。

というのも、ブラチスラバとその郊外には針葉樹林こそないものの、河畔林、ブナやシデ、ナラを主とする広葉樹林など、あらゆる種類の森林がある。また、樹木の少ない草原地帯も存在する。さらに、冬も凍らないドナウ川は水鳥の宝庫でもある。

例えば、電車で行くことのできるザーホリエ地域のデヴィーンスケ・ヤゼロは、ドナウ川の支流であるモラバ川が氾濫すると水につかる氾濫原で、水鳥はもちろん、猛禽(きん)類が豊富だ。3種類のノスリのほか、カタシロワシ、シロハヤブサ、ハヤブサ、そして比較的まれなトビ類が観察できる。ブラチスラバから北に延びる小カルパチア山脈があるおかげで、チョウゲンボウやチゴハヤブサ、タカ類も生息している。

越冬する鳥たちを見るのに格好なのは、ブラチスラバ南部のチェルノヴォ地区だろう。スズガモやビロードキンクロ、コオリガモなど、通常はあまり見かけない鳥たちが北から渡来する。

シスロヴスケー・ポリア(Syslovske Polia)野鳥保護区では、欧州で最も体重の大きい鳥、ノガンがみられる。

市内で最も標高の高いデヴィーンスカ・コビラ地区には、ハチクイ、ヤマゲラ、ヨーロッパアオゲラがいる。

北西部のジェレズナー・ストゥディエンカ地区の森では、この辺りでは大変珍しいオジロビタキなどもみられる。

ペトジャルカ区とドゥーブラフカ区では小型猛禽類のチョウゲンボウが巣をつくる。

バードウオッチングが人気の英国から愛好家が訪れると、森に住む鳥が大変好評だ。フクロウは、スロバキアが生息分布の西端に当たるため、これを目当てに来る人もある。

それだけでなく、セリンやシメといった地元では普通の鳥たちにも感嘆の視線が集まるという。

ブラチスラバ地域だけでは物足りないという人には自動車で1時間ほどのオーストリア・ノイジードル湖がおすすめだ。この湖周辺で生息が確認された鳥は330種に上る。スロバキア全土での確認数が365種であることと比較してもわかるように、まさに野鳥愛好家の天国となっている。

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