欧州連合(EU)内で売られている商品の配合や内容量の差をなくすため、ブラチスラバで今月「消費者サミット」が開かれた。スロバキア、チェコ、ハンガリー、ポーランドの中欧4カ国(ヴィシェグラード諸国)の働きかけでEUレベルの議題に上ったもので、4カ国首脳のほか、関連分野を担当する欧州委員と欧州議会議員、多国籍企業や消費者保護団体の代表者らが参加した。
フィツォ首相は商品に差がある例として◇同じメーカーの同じハムが同じ包装でオーストリアでもスロバキアでも売られているが、オーストリアでは肉の含有量がスロバキアよりも10%多い。逆に、スロバキアでは塩の含有量が3倍に上る◇ある衣類柔軟剤では、オーストリアのほうが1本当たりの内容量が60ミリリットル多いのに、スロバキアよりも価格が安い――などを挙げ、その問題性を指摘した。
チェコのソボトカ首相も「このような行いによってEU内の市民の等級分けが生まれる」と強く抗議した。
同様の苦情を訴える国はEU加盟国の約3分の1に当たる9カ国に上り、その全てが中東欧諸国だ。西側諸国に比べて質の劣る商品を買わされているという受け取り方で、「東西格差」是正を要求している。
サミットでは、「一国ごとではなく、国際レベルで取り組まなければこの問題は解決できない」という点で出席者の意見が一致。ヨウロヴァー消費者担当欧州委員は対策としてまず、「不正競争を禁止する欧州法を解釈しなおし、各国レベルで国家機関が調査・解決に取り組める法的枠組みを確保する」ことを提案した。また、その前提として「域内市場で同じ商品として売られているものの中身は同一でなければならない」ことを明確化する必要性を訴えた。
欧州委員会は各国の機関に対し、商品の比較分析調査の費用として総額100万ユーロを支給する。また、欧州共通の調査・分析方法も年末までにたたき台を策定し、来年1~2月から各国の意見聴取を実施する。