天然ガスをめぐるウクライナとロシアの対立が先鋭化している。ロシア経済省は3日、国営天然ガス最大手ガスプロムとウクライナ国営ガス会社ナフトガスとの供給契約を解消する準備を開始したと発表した。ストックホルム商業会議所仲裁裁判所が2月28日に下した調停判断を不公平とみるロシア側が、姿勢を硬化させた形だ。過去に両国間の対立によるガス不足を経験している欧州連合(EU)は、両国の話し合いを仲介する意向を示している。
ガスプロムは、2015年末にウクライナが天然ガスの欧州調達を開始したのを機にストップしていた同国へのガス供給を、3月から再開する予定だった。しかし、仲裁裁判所が28日、調停判断を出した直後、ウクライナへの供給再開中止を発表。契約の不備を理由に挙げたが、調停判断がきっかけとなったのは明らかだ。ガスプロムはまた、来年末までにナフトガスとの取引断絶を目指して動き出した。
ストックホルム仲裁裁判所は調停判断で、ガスプロムのウクライナ経由の対欧州ガス供給量(トランジット量)が契約量を下回っていたとして、ガスプロムに対し、ナフトガスに20億ユーロ強を支払うよう命じた。一方、ナフトガスには、ガスプロムから50億立法メートル以上のガスを調達することを義務付けた。