トルコ・ストリームの陸上区間、間もなく着工へ

ロシア産の天然ガスを黒海・トルコ経由で欧州に供給するパイプライン計画「トルコ・ストリーム」の陸上区間が間もなく着工する見通しとなった。ガスプロムによる同パイプラインを通じた欧州へのガス供給と、ロシアの対トルコ天然ガス供給価格をめぐる両国の対立が決着したためだ。同パイプラインは来年末の稼動が予定されている。

ロシアとトルコはもともと、供給価格を10.25%割引することで合意していた。しかし、この合意が無条件で有効か、ガスプロムがトルコ・ストリームを欧州への供給ルートとして使えることが前提となっているかで見解が分かれ、トルコの政府系石油・ガス企業ボタシュが昨秋、国際仲裁裁判所に提訴していた。

ガスプロムとトルコ政府の発表を総合すると、ガスプロムは26日、トルコ政府及びボタシュと協定を結び、◇ガスプロムがトルコ・ストリームを欧州へのガス輸出ルートとして使うことを認める◇ガス供給価格の割引率10.25%を過去にさかのぼって適用する――ことで合意した。主にロシア側の要求が通った形だ。ボタシュは協定調印を受けて、提訴を取り下げる。

トルコ・ストリームは、対欧州天然ガス輸出におけるウクライナ・ルートへの依存軽減を目指してロシアが建設を進めている。黒海区間約930キロメートルは完工済みで、あとはトルコ国内の陸上区間180キロメートルの工事を残すのみだ。敷設する送ガス管2本(年間輸送能力:各157億5,000万立方メートル)のうち、最初に稼動する1本は主にトルコ向け、もう1本は主に欧州向けの輸送に使われる。

上部へスクロール