英米系格付け大手のフィッチ・レーティングスは13日、トルコ国債の信用格付けを従来の「BBプラス」から「BB」へ一段階引き下げた。見通しは「弱含み」。経常赤字の拡大やインフレ高進、経済政策に対する信頼低下を理由に挙げた。
フィッチは6月の議会・大統領選挙後にエルドアン大統領がとった措置が、トルコ経済政策に対する市場の信頼をさらに低下させたと指摘した。経済政策のかじを取る財務相に娘婿のアルバイラク前エネルギー天然資源相を指名し、利上げ派として知られるシムシェク前副首相を閣僚に起用しなかったことや、議会の承認なしで中央銀行総裁を任命する権利を大統領に付与する法改正などが、その例だ。これらの動きで、トルコ経済が急激な景気後退を避けながら安定成長に移行する(ソフトランディングする)のが難しくなると分析した。
フィッチの予測によると、燃料価格上昇と個人消費の拡大で、トルコの経常赤字は今年、国内総生産(GDP)比6.1%へ悪化するが、来年は通貨リラ安で4.1%に改善する。
トルコのインフレ率は6月に過去15年間で最高の15.4%を記録したが、フィッチは来年も10ケタ台で推移するとみている。