人材不足でスイス企業も苦心=ポーランド

ポーランドでは景気高揚を追い風に、2016年に10%を切った失業率が今年7月には5.9%まで低下した。労働市場では人材不足が深刻化し、ウクライナ人など外国人に頼らざるを得ない状況だ。ポーランドはスイス企業にとっても重要な生産・サービス拠点で、給与・待遇の改善や外国人の雇用など、さまざまな方法で人材確保に取り組んでいる。

特殊化学品メーカーのクラリアントは、中部のウッジに樹脂用着色剤(マスターバッチ)工場と、社内の共通業務を集約管理するシェアードサービスセンター(SSC)を構える。SSCでは約250人が働いており、欧州、中南米、アフリカ、中東子会社の経理、購買、物流業務を担当する。

専門技能を持つ人が不足するなか、同社は◇担当業務の工夫や研修・昇進チャンスの提供◇福利厚生の充実◇ホームオフィス(自宅勤務)許可――など、多様な方法で人材確保に努めている。

現地子会社のパンチック社長によると、ウッジには蘭フィリップス、富士通、米ワールプールなどのサービス拠点があり、SSCのために有能な人材を確保するのが非常に厳しい状況だ。この職種では賃金上昇率が平均10%で全業種平均の6%を大きく上回り、人件費も高くなっている。クラリアントはリンクトインなどのビジネス向け交流サイト(SNS)を利用して外国でも求人し、これまでに中南米から約60人を採用している。

一方、生産部門ではやめる人は少なく、ポーランド人が勤め続けている。クラリアントでは、人材が不足する以前から賃金を上げるなど待遇に気遣い、従業員の信用を得たことが今になって効果を上げていると推測している。

上部へスクロール