欧州委員会は1日、ハンガリー化学大手ボルショドケムが1億4,200万ユーロを投じてアニリン・プラントを建設する計画に対し、ハンガリー政府が4,500万ユーロを助成することを承認した。発展の遅れる同国北東部における雇用創出と経済発展に寄与すると判断した。また、アニリンが主原料となるジフェニルメタン・ジイソシアネート(MDI)の需要が拡大していることや、ボルショドケムの企業規模を勘案し、助成が市場競争に与える影響は限定的とみている。
ボルショドケムはカジンツバルツィカ本社工場にアニリン・プラントを設置する。同工場ではMDIを製造しているが、これまでは中国の親会社・万華実業集団からアニリンの供給を受けていた。
欧州委は、中国からのアニリン輸入コストが比較的小さく、助成がなければプラント建設の採算がとれないことも考慮に入れた。また、毒性のあるアニリンの長距離輸送が減れば環境リスクが低減できる点にも留意した。
MDIは自動車・建設産業で使われるポリウレタン製品や、家電、衣料・靴などの材料となる。