ポーランドで21日統一地方選挙が行われ、政府与党の「法と正義(PiS)」が最多票を獲得した。ただ、得票率は事前のアンケート調査を大きく下回り、来年の欧州議会選、議会選に含みを残した。選挙管理委員による結果発表は25日に予定されている。
イプソス・リサーチの出口調査によると、PiSは県議会選挙で32.3%を得票し、2014年の前回選挙から5ポイント伸びた。一方で投票前に行われたアンケート調査での支持率(49%)や15年秋の議会選挙(37.6%)を明確に下回った。
2位は「市民プラットホーム(PO)」と「モダン(N)」による選挙連合「市民連合(KO)」で26.7%、3位は農民党(PSL)で16.6%だった。ロック歌手パヴェウ・クキス氏が率いる反体制派政党「クキス2015」は6.3%、地方の独立党派も合わせて6.3%を得た。民主主義左派同盟(SLD)は5.7%だった。投票率は同国地方選としては高い53%となった(14年:47.4%)。
PiSは全国16県議会中、9議会で最大会派を形成する。ただ、選挙前予測よりも得票率が低く、多くの議会で連立を余儀なくされる。
大都市の市長選ではカトヴィツェを除くと得票率が低く、ウッジ、ポモージェ、ワルシャワでは「市民プラットホーム」の候補が過半数票を獲得し、決選投票を待たずに当選を決めた。
PiSは国営放送も動員した強力な選挙戦を展開し、圧倒的勝利を目指していた。しかし、攻撃の的となった農民党が得票率を大きく伸ばすなど、選挙活動が裏目に出たきらいもある。この状況が続けば、来年の議会選挙で過半数議席を維持できない可能性も出てきた。ただ、それには野党が分裂を克服してPiSに対抗することが必要となりそうだ。