トルコ統計局(TUIK)が10日発表した2018年7-9月期(第3四半期)の国内総生産(GDP)は、前年同期比で1.6%の増加にとどまり、ロイター通信集計のアナリスト予測(2%)を下回った。これはクーデター未遂事件の影響が出た2016年第3四半期以来で最低の水準。
前期比(季節・暦調整済み)では1.1%縮小した。通貨危機とインフレ急進が大きく影を落とした。市場関係者は今後も不振が続くとみている。
景気をけん引していた個人消費は前年同期比で1.1%増にとどまった。一方で設備投資は3.8%減少した。
輸出はリラ安が追い風となり13.6%伸びた。逆に輸入は16.7%減少し、国内需要の縮小を示した。民間在庫も減少した。
業種別では、潤沢な融資で成長を続けてきた建設部門が5.5%縮小した。一方でサービス業は4.5%成長した。
イシュ・インベストのエコノミスト、ケミュルキョーウルー氏は、「金利引き締め策による融資条件の悪化、リラ安による消費・投資意欲減退で第4四半期は景気が後退する」と予測する。
昨年のGDP成長率は7%を超えていた。しかし、今年に入ってリラ売りが進み、食品・燃料価格が急激に上昇。米国との対立でリラ安の歯止めがかからなくなり、中銀は主要政策金利を24%へ、6.25ポイント引き上げざるを得なくなった。
国際通貨基金(IMF)は同国の今年の成長率を3.5%、来年は0.4%と予想している。米ムーディーズ・インベスターズは来年2%の縮小、シティグループは3.3%の縮小を見込む。
市場が注目するのは、中央銀行の対応だ。来年の地方選挙を控えて景気対策を優先したい政府に対抗し、インフレ見通しが大きく改善するまで金融引き締め策を継続できるかどうかが焦点になる。