2019/1/16

総合・マクロ

ポーランド、華為技社員をスパイ容疑で逮捕

この記事の要約

ポーランド当局が8日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の社員をスパイ容疑で逮捕したことで、中国と欧米諸国の対立先鋭化が懸念されている。中国政府と密接な関係にある華為技の製品に対して、中国政府が情報を収集できるよ […]

ポーランド当局が8日、中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の社員をスパイ容疑で逮捕したことで、中国と欧米諸国の対立先鋭化が懸念されている。中国政府と密接な関係にある華為技の製品に対して、中国政府が情報を収集できるような細工があるのではとの疑念が強まり、カナダでの幹部逮捕、チェコでの調査開始と、同社への逆風が強まっているためだ。ただ、各国の足並みはそろっておらず、ポーランド政府は欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)に対し、華為技に対する加盟国の姿勢統一に動くよう求めた。なお、中国政府はスパイの嫌疑を「いわれのないこと」否定している

今回逮捕されたのは、華為技現地会社の公的機関担当営業部長を務めていた中国人と、ポーランド公安庁(ABW)の元幹部だったポーランド人の2人だ。現地報道によると、中国人は2006年から在グダニスク中国領事館の職員を務めた後、11年に華為技に就職したという。同社は11日の逮捕報道を受けて、翌12日に中国人を解雇した。「社の評判を落とした」ことを理由に挙げているが、容疑の真偽については踏み込まず、会社としての関わりも全面否定している。

ポーランド人はABWに通信保安副部長として勤務。2011年の退職後は、陸軍アカデミーなど公的機関で働き、17年に仏電気通信大手オレンジの現地会社に就職した。政府通信網や政府のサイバーセキュリティ戦略に精通しているという。

華為技をめぐっては先月、カナダが米国の要請で孟晩舟・最高財務責任者(CFO)を逮捕したのを機に、問題が表面化している。米国は逮捕要請の理由を「対イラン制裁措置違反の疑い」と説明しているが、今会計年度(19年9月末決算)の国防権限法で、安全保障上のリスクを理由に同社製品の政府調達を禁じるなど、警戒を強めているのも事実だ。同盟国にも同様な措置をとるよう求めており、両国の対立が米国陣営対中国の構図に発展する懸念もある。

華為技は次世代移動通信(5G)技術で世界トップを走っているが、これまでに英国、チェコ、豪州、ニュージーランド、日本が華為技製品の導入を制限する姿勢を明らかにしている。ノルウェーは同様の措置を検討、フランスも「『国の主権』にかかわる案件」について政府が介入する可能性を指摘した。ドイツでは明確に華為技を排除するような言動はないものの、5G入札で同社が落札する可能性は低いとみられている。ポルトガルとイタリアでは華為技の経済活動に対する制限はほとんどない。

欧州委員会はポーランドでの華為技社員逮捕に関連し、当局に情報提供を求める姿勢だ。サイバー空間での保安に関連する事項について、「情報を共有するかどうかは各国政府の判断に任されている」としたうえで、サイバー犯罪の脅威が急激に拡大していることや、華為技に嫌疑がかかるのは今回が初めてでないことから、欧州委自ら分析に乗り出すことにした。

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