ギリシャ議会は25日、隣国マケドニアの国名変更に関する同国との合意を賛成多数で承認した。マケドニアは「北マケドニア共和国」への改名が決まり、国名をめぐるギリシャとの28年間にわたる対立に終止符を打ち、悲願とする欧州連合(EU)、NATO加盟の障害が取り除かれた。
ギリシャ議会(定数300)では、チプラス首相率いる与党・急進左派連合(SYRIZA)が145議席と過半数を割り込んでいる。国民の多くがマケドニアの新国名をなお不満として反発する中、連立政権を組んできた右派政党「独立ギリシャ人」が合意に反対し、連立を離脱したため、合意の立役者であるチプラス首相は厳しい状況にあった。
しかし、チプラス首相は16日に行われた信任投票を僅差で乗り切り、マケドニアとの合意をめぐる採決に持ち込んだ結果、無所属議員と野党の一部議員の支持を取り付け、賛成153票で承認を得た。
マケドニアは1991年に旧ユーゴ連邦から独立した際、憲法で正式名称を「マケドニア共和国」とした。しかし、ギリシャが古代ギリシャの英雄アレキサンダー大王の出身地である同地の名前を全面に出した国名に反発。マケドニアのEU加盟に拒否権を発動してきた。
両国政府は昨年6月、国名を北マケドニア共和国とし、ギリシャがマケドニアのEU加盟を支持することで合意。マケドニア議会は国名変更に関する憲法改正を11日に可決していた。
マケドニアは2005年にEUから加盟候補国として認定されたが、国名をめぐるギリシャとの対立が障害となり、次のステップとなる加盟交渉開始は見送られてきた。両国議会の承認により、マケドニアは国名変更が正式に決定し、ギリシャはマケドニアのEU、NATO加盟への反対を取り下げる。
EUは昨年6月、マケドニアとの加盟交渉開始を条件付きで承認。交渉を欧州議会選終了後の19年6月に開始する方針を打ち出していた。